知覚障害等の症状が後遺障害と認められた交通事故の解決事例
・裁判において、後遺障害第12級13号(両上腕部及び両前腕部知覚障害、両肩関節痛等の症状)の逸失利益について、労働能力喪失率を14%、労働能力喪失期間を15年とする和解案が提示され、和解が成立した件
・裁判において、素因減額を10%とする和解案が提示され、和解が成立した件
- 四輪車同士の事故
- 第12級
- 疼痛等感覚障害
- 神経系統の機能又は精神
- 被害者
- 40代男性
- 当事者の車種など
- 普通乗用自動車 対 普通乗用自動車
- 主な傷病名
- 頚髄中心性頚髄損傷等
- 後遺障害等級
- 第12級13号
- 弁護士特約
- なし
- 解決方法
- 裁判上の和解
後遺障害の認定手続き
弁護士依頼前の事前認定
第12級13号(両上腕部及び両前腕部知覚障害、両肩関節痛の症状、両肩関節の機能障害)
停車中の自動車に乗車する会社員の40代男性が、自動車に追突される交通事故に遭い、事前認定により第12級13号の認定を受けた上で、保険会社からの賠償金の提示を受けましたが、提示金額が低額であったため、損害賠償請求の裁判を当事務所に依頼されました。
裁判を提起し、裁判上の和解により解決しました。
当初の 提示金額 |
解決金額(和解案) | ||
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人的 損害 |
治療費 | 86万3185円 | 86万3185円 |
通院交通費 | 7128円 | 7128円 | |
装具代 | 1万6840円 | 1万6840円 | |
休業損害 | 230万0598円 | 225万6142円 | |
傷害慰謝料 | 46万8028円 | 120万円 | |
逸失利益 | 205万8588円 | 784万7053円 | |
後遺障害慰謝料 | 100万円 | 290万円 | |
診断書代 | 5250円 | 5250円 | |
小計 |
671万9617円
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1509万5598円
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素因減額 | 0% | 10% | |
既払金(任意保険) | -318万0623円 | -318万0623円 | |
既払金(自賠責) | -0円 | -224万円 | |
和解調整金 | 0円 | 53万4585円 | |
賠償額(既払金を除く) |
353万8994円
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870万円
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①後遺障害認定のポイント
依頼を受ける前に事前認定により認定を受けておられた件でサポート等はしていませんが、画像所見や医療照会回答書(神経学的所見の推移について、脊髄症状判定用等)に記載された所見により、中心性頚髄損傷に伴う両肩の痛み、両上肢の知覚鈍麻の残存が認められたことがポイントであったと考えます。
②過失割合のポイント
追突の事案であり、被害者に過失がないことが明らかな事例でした。
③損害額のポイント
(1)中心性脊髄損傷か頚椎症性神経根症かは、微妙な判断であり
(2)頚椎症性神経根症と考えたとしても、原告(被害者)に残存する後遺障害について医学的な裏付けのある神経症状(12級)と評価することも可能であること、
(3)肩関節可動域の制限自体が12級相当であり、相当期間継続すると考えることも可能と思われること、
(4)症状が経年的に回復する可能性は否定されないと考えられること
(5)実際に相当程度の減収があること
等を踏まえ、逸失利益について、喪失率14%、喪失期間15年の和解案の提示を受けました。
また、頚椎症性神経根症であれば、脊椎の経年性変化による影響が考えられ、中心性脊髄損傷であっても発症原因に経年性変化が寄与する可能性は否定しきれないとした上で、喪失期間を限定したことにもかんがみ、素因減額を10%とする和解案が提示されました。