第12級5号認定(骨盤骨の変形等)の解決事例
・事前認定により、第12級5号(右恥坐骨骨折による骨盤骨の変形、通常派生する関係にある右恥坐骨骨折後の恥骨部痛)の後遺障害認定を受けた件
・信号機により交通整理の行われている交差点において、青信号で横断歩道を横断していた30代の兼業主婦を、対向方向から右折した普通貨物自動車が轢く等した事故について、和解が成立した件
- 歩行者と四輪車・単車との事故
- 第12級
- 変形障害
- せき柱及びその他の体幹骨
- 被害者
- 30代女性
- 当事者の車種など
- 歩行者 対 普通貨物自動車
- 主な傷病名
- 骨盤骨折等
- 後遺障害等級
- 第12級5号
- 弁護士特約
- あり
- 解決方法
- 裁判上の和解
後遺障害の認定手続き
弁護士依頼後の事前認定
第12級5号(骨盤骨の変形、恥骨部痛)
もちろん、以下のように内容を膨らませてみました。
30代の兼業主婦である女性が、仕事と家事を両立させながら日々の生活を送っていたある日、交通事故に巻き込まれました。事故が発生したのは、信号機によって交通整理が行われている交差点でのことです。女性は青信号を確認し、安全に横断歩道を歩いて渡っている最中でした。しかし、その時、対向車線から突然右折してきた普通貨物自動車がスピードを緩めることなく進行し、女性は衝突されてしまいました。この事故により、女性は大きな怪我を負い、後遺症の可能性も残る深刻な状況となりました。
事故後、依頼者はすぐに医療機関で治療を受け、その後のリハビリも行いましたが、身体には後遺障害が残る可能性がありました。こうした状況を受け、女性は今後の治療費や生活に対する損害賠償を適切に受け取るために、法的なサポートが必要だと感じるようになりました。幸いにも、依頼者は保険に付帯していた「弁護士費用特約」を利用できることが判明し、経済的な負担を気にすることなく弁護士に依頼することができました。この特約により、依頼者は自分の費用負担なしに、法律の専門家である当事務所のサポートを受けることができるため、安心して今後の対応を進めることが可能となりました。
当事務所は、依頼者のケースを詳細に検討し、まずは後遺障害の認定手続きをサポートすることを第一に取り組みました。交通事故による後遺症は、将来的な生活に大きな影響を与える可能性があるため、その認定は非常に重要なプロセスです。当事務所では、依頼者が受けた怪我や治療の経緯、医師の診断書などの証拠を基に、後遺障害が正当に評価されるよう、必要なサポートを提供しました。また、依頼者が適正な賠償を受けられるよう、加害者側の保険会社との交渉においても全力を尽くしました。
損害賠償請求においては、事故による身体的・精神的な苦痛、治療費、今後の生活に必要な補償額をしっかりと見積もり、依頼者が納得できる形で解決を目指しました。弁護士費用特約を活用できたことで、依頼者は費用の心配をすることなく、専門家のサポートを受けることができ、安心して損害賠償請求を進めることができたのです。
①医師に面談の上、後遺障害診断書を作成していただきました。
②後遺障害の認定について、診断書の記載内容をチェック及び意見書の作成等のサポートを行い、第12級5号の後遺障害認定(事前認定)を受けることができました。
②後遺障害の認定後、示談交渉を行ったものの、損害額について双方の主張に大きな隔たりがあったため、裁判を提起し、裁判上の和解により解決しました。
当初の 提示金額 |
解決金額(和解案) | ||
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人的 損害 |
治療費 | 117万9299円 | 117万9299円 |
入院雑費等 | 6万6768円 | 6万6768円 | |
通院交通費 | 2880円 | 2880円 | |
休業損害 | 24万5100円 | 84万1787円 | |
傷害慰謝料 | 65万4200円 | 184万円 | |
逸失利益 | 93万円 | 102万6275円 | |
後遺障害慰謝料 | 131万円 | 290万円 | |
後遺障害診断書代 | 0円 | 1万0500円 | |
小計 |
438万8247円
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786万7509円
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既払金 | -117万4269円 | -117万4269円 | |
和解調整金 | 0円 | 56万6760円 | |
賠償額(既払金を除く) |
321万3978円
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726万円
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①後遺障害認定のポイント
依頼者の主治医による診断では、「許容範囲内での変形残存」という比較的軽度な評価が下されていました。このため、主治医が作成した後遺障害診断書には、⑨体幹骨の変形の欄に特別な記載はありませんでした。しかしながら、当事務所が提出したレントゲン画像やその他の医療記録を基にした検討の結果、実際には事故による骨折後の骨が著しく変形して癒合していることが確認されました。この変形癒合が大きなポイントとなり、結果的に第12級5号の後遺障害等級の認定を受けることができたのです。後遺障害の認定においては、主治医の診断書に加え、レントゲンやCTスキャンなどの画像診断結果が非常に重要な証拠として扱われることが多く、今回も画像上の変形が決定的な役割を果たしました。依頼者にとっては、医師の診断だけに頼らず、画像の客観的な証拠を提出したことが認定につながったと言えるでしょう。このような骨折後の変形癒合が確認できる場合には、後遺障害認定を積極的に申請することをお勧めします。
②過失割合のポイント
本件事故は、依頼者が青信号に従って安全に横断歩道を歩いている最中に発生したものであり、事故の原因は完全に加害者側にあります。したがって、依頼者には過失が全くないことが明白でした。交通事故の過失割合が0%である場合、損害賠償請求において被害者側が有利な立場に立つことができます。本件でも、依頼者が横断歩道を青信号で渡っていたという状況から、加害者側の過失が全面的に認められるべきであるとの主張が通り、依頼者に過失が一切ないことが確認されました。過失割合に争いがない場合、保険会社との示談交渉や裁判でも迅速かつスムーズな進行が期待できるため、依頼者にとって有利な展開となります。
③損害額のポイント
本件においては、依頼者が負った後遺障害に対する損害賠償額の算定が大きな課題となりました。特に、後遺障害診断書の自覚症状の欄には「股関節屈曲時の恥骨部の痛み」が明記されており、この症状が依頼者の生活や労働に与える影響が考慮されました。その結果、102万6275円という一定の金額が提示されましたが、依頼者が感じていた痛みや日常生活への支障に比べると、この金額は不十分と感じられる部分もありました。
また、主治医が「許容範囲内での変形残存」と診断したことが、労働能力喪失率や労働能力喪失期間の算定に大きな影響を及ぼしました。この診断内容により、依頼者の労働能力喪失率が高く見積もられなかった結果、逸失利益の金額が抑えられた形となりましたが、それでも後遺障害が認定されたことにより、依頼者は一定の賠償金を受け取ることができました。このように、事故の後遺症が生活や労働能力に与える影響が大きい場合は、詳細な診断書や証拠をもとに、適切な賠償を得るための交渉が重要です。